【短】セカンド・ラブ
「あ!香奈枝さん!!」
「おお、亜梨沙…その制服、」
亜梨沙は村﨑先生と知り合いみたいだ。
そして、あたしの制服を指差したあと顔を真っ青にした。
「…私の清楚系イメージが……終わった」
とかなんとかぼやき出した。
「てかさ、遼(リョウ)が待ってんだから早く返事してよ!こっちだって暇じゃなんだからっ」
「そんな簡単に許してくれるなんて思ってないよ」
「当たり前。それと君、笑顔気持ち悪いから笑わないでくれる?」
いつの間にかあたし達の隣にいた村﨑先生。
手には煙草が握られていた。…もう割り切ったのらしい。
今ので、奴から笑顔が崩れた。それと同時にあたしの足も動く。
「…酷くないっすか?」
「そう?偽物って、完璧な人間みたいで吐き気がするのよね」
そうだ、あたしは偽物のこいつが好きだった。
真面目過ぎなくて、でも誰にでも優しくて、自分の中に正義があって頭もスポーツも申し分ない偽物を。
あたしは本気で奴に右ストレートをくらわした。
あっけなく後ろに倒れこんだ。
「な、なにすんのよっ!」
奴の一番近くに居た傷んだ茶色の髪を揺らしながら叫んだ。