【短】セカンド・ラブ
「本気で許して欲しいなら、この人と一緒なら一生終えてもいいような人連れてきて。別に許して欲しくなければあたしに一生その顔見せんな」
奴は間抜け面をして、地面に座ったまま右頬を押さえている。
「わっ、ワケ分かんない!頭おかしいんじゃないの?!遼、もう行こっ!」
何人かで奴をひきずりながら、早足で去って行った。
「貴方もお人よしねえ、そんなの許してるのと一緒よ」
「綯捺さんかっこ良かったです!!」
二人同時に話し出すから、何言われたか分かんない。
「間抜けだなー」
「うわっ!ストーカー?!」
「あなたのお兄ちゃんです」
すぐ後ろに宮根悠些がいた。
その姿を確認した村崎先生は煙草を素早く隠した。
「宮根先生、」
「村崎先生が登場した辺りから見てました」
村崎先生は舌打ちをした後、隠した煙草を吸った。
「あー馬鹿、綯捺が手腫れるまで殴んなくて良かったのに」
「……相手だけ痛いのは、ヤだから」
あたしの手を優しく包むように自分の手を見ると、思ったより赤くなっていた。
…今更になって痛くなってきた。