【短】セカンド・ラブ
あれから一週間、
最近悩みがある。別に前もなかった訳じゃないけど、そこまで気にする程度じゃなかった。
…でも今回の悩みは気にしない、ということは無理そうだ。
「じゃあ次、多田読んで」
「…せんせー教科書忘れちゃった」
今は国語の現代文、授業の時はあたしはクラスの一人として扱うくせに、何故か放課後になるといきなり変わるから心臓に悪い。
「隣に見してもらえ」
「えー…、はーい」
未夢は嫌そうに口を咎めたが、それはただクラスの男子の顔を赤くするだけだ。
渋々、棒読みで読み始めた。
「よし、いいぞ」
「なっちゃん誉めてっ」
あたしと未夢は席替えで隣の席になった以来、未夢は何かとあたしに話しかける。
無理しなくても別に気にしないのに。
「…偉い」
「えへへ、ありがとう」
そして授業に当てられる度に誉めてと言ってきて、誉めると嬉しそうに笑う。
最近気がついたんだけど、未夢は国語の授業によく当てられる。
「多田ー、なににやついてんだ教科書見ろ」
「笑ってるのーっ!」
「あ、そうか悪い。少し怖くてな」
「せんせー酷いよっ」
なんで皆が笑ってる時、決まってこっち向いて笑うの?
いつも逸らすのは、決まってあたしから。
…宮根悠些の考えてることがよく分からない。
その途端、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。