【短】セカンド・ラブ
こいつは、知らないらしい。
あたしが武道家の娘だと言うことを。
「───ぐあっ、」
その男の腹を蹴り飛ばした。
「お、おい馬鹿!斉藤はあの斉藤一樹の妹だぞ!」
「はあ?!げほっ…、知らねえんなこと!」
実際、武道を始めたのは中学から。
兄はこの学校の卒業生で、かなり荒れて有名だった。
父は家に柔道場を作るくらい武道好きだ。
「もう行くぞっ」
逃げるように去ってった男達をみた後、女の子の方に目を向けた。
「ありがとうございますっ!」
「……危ないから来るなって」
「ヤですっ!あたし、綯捺さんの友達になりたいんです!」
こいつ──宮根亜梨沙(ミヤネアリサ)とはナンパされてるところから助けたら、懐かれてしまった。
それから毎日校門の前で待ち伏せされている。
「学校は、どうしてんの」
「…行ってません。だから教えて下さいっ」
可愛らしい笑顔でリュックかからノートを取り出してあたしの前に差し出した。
「…なにをやんの」
「えへへっ、じゃあ家に来て下さい」
手を引っ張られ、抵抗しようと思ってもあんな嬉しそうに言われたら断れる訳がない。