【短】セカンド・ラブ
舌の苦さを誤魔化すためにあたしは水を一気飲みした。
…なんか今日ミスしてばっかりで、自分が情けなくなった。
窓の外を見ると、ちょうど小さな女の子が何かに躓いて転んでしまってた。
母親らしき人が走って女に子の方に向かうけど、女の子歯は食いしばってるが泣かなかった。
それを見て母親は多分、よく耐えたねとかを言っただと思う。
そしたら女の子は嬉しそうに軽く跳ねながら母親にしがみついた。
「…なに、やってんだろう」
あんな小さい子が痛みを我慢して泣かなかったというのにあたしはたかが胸の痛みぐらいで。
一回、あたしは心臓の辺りは強く叩いて自分に喝を入れた。
「すいませんっ、相手が心配とかなんかしつこくて…」
「いや、いいよ。…大事にされてるんだね」
「んー、そうですかねえ」
不満そうに顔をしかめながら椅子に座った。
そして苺パフェを食べ始めた。
「ねえ、綯捺さん」
「なに」
「知ってますか?高校の時から兄ちゃん、片思いしてる人がいるんですよ」
ああ、やっぱり駄目かもしれない。さっきとは比べ物にならないくらい胸が痛い。
「…知らなかった」
「あたし、そこまで言う人が気になって会いに行ったことがあるんです」
もう聞きたくないのに耳は傾いたまま。
奴の片思いをしてる人はどんな人なんだろう。
「…へえ」
「その人、優しくて…、天然なんです」
優しくて天然と言ったらあたしは一人しか知らない。
───未夢しか。