【短】セカンド・ラブ
「でね、ですね!なんと、今日お兄ちゃんが帰ってくるんです!」
「良かったねー…」
もうかれこれ30分、話を聞いている。
だけどあたしはこの笑顔に弱いみたいで、勉強に繋げられない。
「はいっ」
ほら、またすぐにこうやって笑うんだ。
あたしは諦めて、話を聞くことを覚悟した。
─────…
────…
「あれー、もう6時ですよー?」
「もう帰る」
「え、ヤですよ!泊まてってください~」
あたしの足にしがみついて、離さない。
ちょ、意外に強いんだけど。
「亜梨沙、帰ってきたぞー……ん?」
その途端、亜梨沙の兄らしき人が部屋に入ってあたし達を交互に見つめた。
…へえ、すごい格好いい兄貴なんだなあ。
が、その整った顔を歪ませながら、視線をあたしに移した。
「……亜梨沙、とうとう目覚めたのか」
そう言った途端、緊張で熱くなっていた体が一気に下がっていった。