【短】セカンド・ラブ

何故かその動作まで見逃さないかのように見つめてくる皆。

…なんか、恥ずかしいんだけど。

あたしが少し目線を上げると一斉にあたしから目を離す。このやり取りを何回か続けた。


「……コーヒー飲みたいの」


そう聞いてみると、皆が一気に喋り出した。


「どうしてそう思うんだよ」

「綯捺さんが飲んだらあたしは何でも…きゃっ」

「なっちゃんって昔から変わんないねー!」

「あー、くれんの?」


最後にぽつりと言った言葉に、あたし以外は宮根悠些に振り返った。


「全部飲むなよ」

「いやいや!ちょっと、待てよ!?」


そのまま向かいにいる宮根悠些に渡そうとしたら琉奈に止められた。

あたしはよく状況が分からず、眉を寄せた。それを見て宮根悠些は可笑しそうに笑っていた。


「いいのか!おまっ、先生と間接キスになるってことだぞ?!」

「例え、綯捺さんが許可してもあたしは許さないっ!」

「禁断ラブ?うわー、いいじゃん」


なんかよく分からない単語が沢山出てきて、あんまり内容が理解出来なかった。

でも、一つだけ分かったのはこれを渡すと向かいにいる奴と間接キスをしてしまうらしい。


「…やらない」

「うわ、ショック」


そう口では言っているが、笑っていて全然ショックそうじゃなかった。

それを見て、少し胸の辺りがチクチクする。やっぱ自覚するんじゃなかった。

…教師と生徒の恋愛なんてまず無理だ。それに、あっちはあたしなんていくら幼馴染でも妹ぐらいにしか思ってなんだろう。


「お待たせ致しましたー」


その店員の明るい声と共に、更に皆が騒ぎ出した。…あたしだけを除いて。

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