【短】セカンド・ラブ
そんな真剣な顔をされたら座るしかない。
これも惚れた弱味か。もう恋をする予定は無かったんだけどな。
「──俺、好きな奴がいるんだ」
さっき亜梨沙から聞いて大丈夫だと思ったんだけど、やっぱり本人から言われるときつい。
ポーカフェイスを崩さないように、あたしは唇を噛んだ。
「…亜梨沙から聞いた」
こいつは、何がしたい?
わざわざどうしてあたしにそんな話をするんた。兄妹の方が話しやすい筈なのに。
「うわー、早いな」
「それだけ?なら、帰らして」
もうこれでも目一杯だから正直、傷を深くしたくない。
あたしのその一言で、宮根悠些から笑顔が消えた。
「まだ終わってない」
「人の惚気話し聞いてもつまらない」
早く、早くこの場を立ち去りたい。
「惚気話しなんかしない。だから聞いて」
「…っ、」
──ずるい。そんな甘えるような声で、弱々しく腕を掴まれたら、あたしは振り払うことが出来ない。
「……しないなら、いい」
「おう、しないぞー」
なんで、言葉は強気なのにそんな辛そうなの。
これからそんなに辛い話をするの?
「…綯捺、」
「…なんだよ」
そんな顔するなよ、あたしまで悲しくなるから。
「…ごめん、な…っ」
あたしはそれを聞いて汗が出た。
それは、好きになれなくてごめん?それとも別?