【短】セカンド・ラブ

あたしはそんなに分かりやすかっただろうか?

…息を潜めるように、宮根悠些の言葉を待った。


「助けに行けなくて、ごめんな…」

「助けに…、いつの話?」

「今すぐ俺を殴ってくれ、あいつみたいに」


まさか、中学の時のイジメの話?

それを聞いてあたしは、少し安心した。


「や、だって東京にいたんでしょ」

「知ってたら東京にいたって戻ってきてた…っ」


それは宮根悠些が悪い訳じゃないのに。

でも、そこまで思っててくれたことが素直に嬉しかった。


「いいよそんなの」

「じゃあ、なんで綯捺はそんなに変わった?人を、信用出来なくなっただろう?」

「…それは、」


確かにそうだけど。だからって、宮根悠些が責任を感じることじゃない。


「それは、宮根悠些は関係ない」


だからもういい。いつまでもあたしに縛られてるから好きな人に告白できないだろう?

だったらあたし、きっと宮根悠些が傷付くようなことだって言えるんだ。


「…だからもう気にすることは…っ!」


そこまで言った途端、視界が急に真っ暗になった。

──宮根悠些に抱き締められてると気付くには、時間が掛かった。


「なっ!」


宮根悠些の腕の中で暴れると、更に強く抱き締められてた。


「ちょっと黙って」


意味が分からない。緊張で泣いてしまいそう。

胸の鼓動がバレないか心配だったけど、それ以上に宮根悠些の鼓動の方が速かった。

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