【短】セカンド・ラブ
出来るだけ、宮根悠些とは関わらないようにしよう。
そうすれば彼の口からあたしの名前は出てこないだろう。
「明日も学校あるから帰る」
「え…」
と、弱々しい声を出してあたしを見つめた。
「せっかく、久々に帰ってきたんだから邪魔しちゃ悪いだろ」
「や、やだ…っ!帰らないでください!」
あたしの灰色のセーターを掴んで、必死に泣きそうな顔をして呼び止めた。
「…でも、」
「お願いします、」
その目は、まるで何も聞くなというかのように強い、目だった。
「……分かった」
「えへ、やっぱり綯捺さん優しいです!」
もういつもの無邪気に笑う亜梨沙に戻っていた。
でも、何故?あんなに仲が良いのに。
そう考えたすぐにあたしは首を横に振った。
…誰にでも、入られたくない部分はある。
あたしは考えるのをやめて、ニコニコ笑う亜梨沙に向かって小さく口角を上げた。
そして自分にこれ以上深入りはするなと何度も訴えかけた。