検品母
波紋
田村奈津子は、ママ友とは、ちょっと違うお友達だった。秀子は、バナナを散歩に連れて行くとき、何組かの飼い犬と飼い主のカップルに出会う。その中で知り合ったのである。奈津子は、雑種の犬ばかり3頭も連れていた。全部保健所から貰ってきた犬だった。
「犬の保護施設がボランティアで運営されてるけど、限界やわ。うちは、3頭で限界。人助け(犬助け)は、尊いけれど、限界をわきまえんと。せやないと、元も子もないわ。」と、奈津子はこぼしていた。けれど、普通、犬を飼うというと、好きな犬種を欲しいのに、保健所の犬をわざわざ選ぶのは、偉い、と秀子は感心した。
奈津子はお子さんも大きく、秀子より一回り上の世代で、それゆえ、ママ友特有の、緊張感がなく、のんびりとお付き合いできた。ママ友とは共通点が多いのだけれど、女特有の「私は人と比べてどうか?」という、確執が付き纏う。秀子は同世代の人に認められる事が、子供の時から一番だと思っていたが、こういうお友達も好きだった。


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