検品母
元村彰治朗が会社から帰ってみると、相変わらずテレビは、つけっぱなしだ。
トドのような嵩だった弥生は、急にしぼんで、相変わらずソファに寝転んで、テレビを見るともなく見ているハズだが。
気配がない。
「つけっぱなしにして、ほんまに。」
だが、次の瞬間、彰治朗は、フリーズした。
弥生は、息がなくて、倒れているのだった。
いくら、無能な妻で、こいつのために働いてやっているんだと思っていても、彰治朗は、足元がなんだか、崩れるような感じがした。

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