検品母
木村薫は、田村奈津子の畑を通りかかった。
朝6時くらい。
学校へ行っていないゆえ、人目が気になるので、完全夜型。
夜じゅう起きていて、寝る前の徘徊だ。
フード付きの帽子をかぶったおばさんが、大根を抜いている。
「早いなあ。」
田村奈津子が、のんびり、声をかけた。
「うん。」
「ああ、これは規格外や。もってき。」
と、木村薫に大根を押し付けた。
「うん。ありがとう。キカクガイ?」
このおばちゃんは、学校は?とか、聞かへんのや。
「大きさ揃ってへんと、農協に出されへん。」
そのあと、田村奈津子と木村薫は、なんでもない事を話して、わかれた。
「キカクガイ」
という、言葉が、木村薫を咎めたてる言葉に聞こえつつも、大根をかかえて、うちへ向かった。



















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