検品母
ママ友集団は、相変わらず寄っている。
「それはそうと、春山さん、顔色悪いで。」
「貧血でね、まあ女の人に良くある事だし。」
しかし春山優子の顔は、青黒く頬骨が尖っていた。宝明子は癌で亡くなった姉そっくりだと思った。
「わたし、引っ越すの。」北野和代が言った。
「なんで。」みんなが口々に聞く。
「ちょっとね。」
「どこに?」
「住所がはっきりわかったら・・・」
でも、そういう反応を返す女は、離婚にほぼ決まっている。女ってのは、見栄っ張りだから、自分の結婚が失敗だったなんて、ママ友には言いたくないのだ。










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