検品母
毎週の文化教室で、田中節子は、ビーズをつなげていた。
日常も、人生も、ビーズをつなげるものかもしれない。
山口秀子がいない寂しさにも慣れた。
先生が、脱線した話をする。
「私は、とにかく透明な物が好きでね。でも水晶玉で怖い思いをしたのよ。窓からの光がレンズ効果で集められて、カーペットが焦げたの。」
そうだ、と節子は思った。なんらかの原因で、ママ友なんかの悪意が集約されて、子どもの事件になるのだわ。
田中節子は、また、山口秀子の取り巻きが、若年性癌や離婚に見舞われているのを聞いている。これもまた、ママ友の陰険さが、レンズ効果のように増幅して、本人やそこにいる人に、牙を剥いたのだと思われる。更に人の弱みが大好きなタイプのママ友は、常に負の部分を意識しているので、悪い事をラジオのチューナーを合わせるように引き寄せてしまう。よく、失敗すると、ビクビクしながらやっていると失敗するように。それはお菓子作りから入試まで変わらない。





















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