検品母
名越育子は、朝遅くの家族を送り出したママ友の井戸端会議から、帰ってきて、清めの盛り塩を換えた。
先日、激安ショップ呂甚で、10袋2000円の赤穂の塩を仕入れたばかりなので、
しばらくある。
最近ママ友集団が次々に不幸に見舞われているのが恐ろしかった。
ママ友集団も、駅前のシャッター商店街のように、欠けてきている。
次は自分とこか???
郵便物を整理していると、献血のご案内。
高校のときして以来、体調がいいとき、200mlだがしている。
また、行こう。
で、ひらめいた。
最近流行の、恰幅のいい拝み屋と、金髪のゲイが言うには、
「お布施は厄除けになるのです。」と。
そうだ。私は、貧乏だから、募金なんて100円しかできないけれど、
献血もお布施なんだよね。
それでかなあ。
ふと、テレビをつけると、ワイドショーが終わり、医療番組をしている時間だ。
いきなり、妃美花そっくりの出っ歯の症例写真が飛び込んできた。
「この場合、骨格性不正咬合といいまして、装置をつけるだけの、通常の歯列矯正だけでは治療できません。」
数えの本厄のダンナと、同年輩らしき、ひげを生やした医師が説明していた。
「...といいますと、費用の方はどれくらいかかるのでしょうか?」
「一概に言えませんが、育成医療制度を利用すると、後で費用の返還がある場合もあります。」
名越育子は、あわてて、書くものを探して、転がっていた領収書に、書いた。
「大阪市民病院、竹田良彦先生、と...」









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