検品母
「なんや隣で、変な臭いするんや。」
一人暮らしのバツ1男、が、大家さんちに駆け込んできた。
大家さんは、合鍵を持って、アパートに向かった。
いつぞや、親戚の葬儀屋に手伝いに行った時の、しばらく発見されなかった、ほとけさんの臭い。
きったはったの商売もしている大家さんですら、一呼吸おいてから、鍵を回した。
開けると、住民の山口秀子が倒れていた。
シャネルっぽい部屋着。
臭いの元はこれか?
素人が見ても、明らかに死骸...
顔を覗くと、図太い神経の大家さんですら、後づさった。
整形女優ですら、かなわない美貌は、無数の腫瘍に覆われていた。
バツ1男は、真っ青になってつぶやいた。
「こんなん、夏場やったらもっと、えらいことやで...」
「110番と、うちの社員と...」
大家さんは、携帯を取り出す。
便利屋のような商売と、不動産屋を経営しているのだ。
便利屋と言っても、事件のあった家の後始末から、法律上のトラブル、産業廃棄物の処理まで、マニアックで危ない事ばかりだ。












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