検品母
木村みどりは、キッチンに無造作におかれている、葉つきの泥まみれの大根に困惑していた。地元の人との交流はない。とりあえず、そのまま、ビニール袋に入れて、朝ごはんの用意をして、洗濯機を回し、ダンナを送り出した。
洗濯物を干し終わると、薫が降りてきた。
「あの大根、どないしたん?」
「畑のおばちゃんがくれた。」
「どこの?」
「古くておっきいおうちの、向かいの。犬いっぱいいてる。」
みどりは、わかった。田村と表札があり、犬がたくさん放し飼いになってるうちだ。
お礼にお菓子でも下げていかねばなるまい。
「あのおばちゃん、学校は?とか聞かへんし、エエ感じやった。」
みどりは、地域にはそういう人もいるんだから、そろそろ、CD-ROMだけの学習もやめて、フリースクールに行かせねばなるまい、と言う気になった。






















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