検品母
週間婦人編集部では、富雄が、集めた資料と格闘していた。
あれ以来、山口あゆみは、脱走したまま見つからず、山口秀子は、別居先のアパートで、性感染症を放置した死骸で、発見。山口秀子と、関係を持った男達に聞いてみると、一人が、上町のタワーマンションを買い与えようとしている矢先に、携帯の連絡が取れなくなってしまったらしい。男は、山口秀子のアパートは、知らない。
見栄っ張りの山口秀子が、みすぼらしいアパートに住んでいることなんか、男達に教える事なんてないだろう。
祖母の元村弥生は、引きこもりになり、薬物中毒で死亡。
山口一郎は、離婚して、実家の両親の借りたマンションに住んでいる。
山口緋那は、養護施設に収容された事はわかったが、プライバシーの問題もあって、それ以上調べるのは、困窮した。が、子どものいない社員に、サクラになってもらい、養子縁組をする夫婦の振りして、状況を聞きだした。
その養護施設には、海外からも、養子縁組を希望する夫婦が来るらしい。
施設側は、臓器売買が目的でない事をしっかり確認して、送り出すそうだ。
山口緋那は、かわいいので、普通の子なら、日本人夫婦にスグ貰われるところ、ネットで、面が割れているので貰い手がないらしい。いつ、山口あゆみのように、牙を剥くかわからないものを、貰う事ない。
が、アメリカの某富豪が、熱心に養子に欲しいと、交渉中だそうだ。
その富豪は、ダウン症の養子もいる。
なんでも、「普通の子が成人するのは当たり前。不利な条件の子が成人するのは素晴らしい。私達はそのミラクルを見たい。」との事らしい。













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