検品母
事件のあった、のぞみ台小学校のある、のぞみ台のある公園で、ママ友のグループがおしゃべりしていた。そこで名越育子が言った。
「あれからもう一週間やわ。うちの妃美花は、『学校が怖い』ってPTSD起こしてたけど、子供ってケロッとして忘れるもんやわ。もう平気やし。」
すると、北野和代は、
「そうそう、子供って、心の健康さがあるんよ。せやけど、頭がどうにかしている子は、ブスッと、やってまう。」
一同は深くうなずいた。その中の宝明子が、言った。
「木村薫ちゃん、まだICUでおるけど、気ぃ付いたんやて。それであゆみちゃんのママは、精神病院入ったキリやて。わがの子ぉがブスッと、やっといて、○チガイのふりして、雲隠れ?笑うわ。」
一同は、ヒタヒタと笑った。名越育子が言った。
「うちの妃美花は、山口さんとこみたいに、勉強とか厳しくゆわんと、のびのび育ててるから、大丈夫やわ。」
春山優子が答えた。名越育子は、沢山いるママ友の一人だ。あゆみと同級の女の子がいる。
「そうや、うちものんびりしているし。山口さんって、子供の成績だけちごて、ナリとか物腰とか取り澄まして、隙無いやん?あれやったら、あゆみちゃんも息詰まるわ。」
そう言うと、ママ友達は、口々にそりゃそうやわ、となった。
いや、このママ友達のグループについさっきまで秀子もいたのだが。
だからこそ、ああゆう事があると、格好のエサになる。
公園の脇にある道を、30代の女がそそくさと通りがかり、目礼だけして立ち去った。
田中節子だった。
彼女が通り過ぎるのを待って、名越育子が言う。
「あの人、文化教室で山口さんといっしょやろ。」
「そうやで。せやけど、呼び止めてまで聞いたら、やらしいわ。」と宝明子。
「ねえ。こんな時だけこっちが近寄っといて、後でつきまとわれたらかなわんもん。」
春山優子が答える。
ママ友達は、容姿も態度も地味で、パッとしない田中節子をグループに入れたくないのだ。

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