検品母
ただ、こういう悪循環は長く続かないもの。
佳代子が高校生になる頃、体質が変わり、喘息もアトピーも消えてしまった。
しかも、身長は170cmに達し、顔は埴輪のように素朴なものの、
洋服が着映えした。
御堂筋を徘徊すると、あやしげなモデル事務所のおっさんが、声を掛けてきた。
こうなると、お父さんの態度が豹変し、一緒にお外に出ようと言ってきた。
佳代子は、何度かはぐらかしてきたが、何度目かに「どっか行こう。」と言われたとき、
ビール瓶を勝手口で叩き割り、白目を剥いてお父さんに襲い掛かった。
美奈子は、声にならない悲鳴を上げて、佳代子を制止した。
お父さんは、隣家に逃げ込んだ。
ゆうてるまに、パトカーが来た。
ビール瓶を手に、仁王立ちになる佳代子に、佳代子より小さい男性警官は、つぶやいた。
「女の子がそんな事したらあかん。」
それを聞くと佳代子は、急に男がちっぽけなものに見えて、こんなモンいわして(この場合殺す・やっつけるの意味)パクられるのもアホらしいので、おとなしくしてやる事にした。
それ以降、佳代子は家庭で暴君になり、結婚してからも根に持って、孫の麗華を会わせない。もっとも、麗華は麗子像のような御面相なので、お父さんの好みではないのだが。















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