検品母
そんな状況で、学年主任の岩下達男は、なんでこんな事が起こったんだろうか?
と、雑務に忙殺されながら、考える。タダでなくても忙しいのだが。
彼が、新卒で教師になった頃、子供たちは軟弱になり、意思が通じにくい、などと、よく言われ始めていたが、一人の教師で対応できない事は、なかった。
ただ、岩下が主任を任される頃になると、学級の維持自体が、難しくなってきた。
まず、机にきちんと座って授業を聞く。という事をできない子がクラスに2、3人は出るようになった。そういう子がいると、授業がなり立たないので、文部省も副担任制を導入し、対応している。少子化で、教師の採用枠も減っているので、人員の確保には不自由しない。
さらに、体育の授業や運動会の練習で、必ず一人は、うずくまる子が出る。
そんな子のための人員も要る。
ただし、ここより都会に見られる、モンスターペアレントは、出ない。
子供たちの保護者の何割かは、地元の、地域社会で育った事も関係しているからかもしれない。彼らは地域の年長者にいい意味でも悪い意味でも抑圧されているからだ。
「あんな事ゆうて、ええんか?」
と、よく言われたはずである。
その彼らが、専門用語で、「非言語的な」コミュニケーションの雰囲気を地域社会で作っているからかもしれない。
「山口あゆみも、お母さんは地元の人なんだけどなあ。」















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