検品母
木村薫は、ICUから一般病棟に移って来ていた。子供というものは、生命力があるもので、あとは傷の抜糸を待つだけである。ただ、薫は、同室の人にひどく怯えるのだ。同じクラスの子に刺されたというPTSDの発作としては、致し方ない。個室に入れたいのは、山々だが、差額ベットのこともあり、カーテンを引いて凌いでいる。
「私、もう学校行かないよ。」
「そんなこと、言わんといて。」母親の緑が答えた。
「私当たり前のこと、言っただけやのに、刺されるから。」
「当たり前のこと?」
「半袖で、あゆみちゃんの傷見えたから、言うた。」
「あかんやん、そんなん言うたら。」
「でも、ママ私の顔の事、パパに似て一重や、とか言うから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「私、もう学校行かないよ。」
「そんなこと、言わんといて。」母親の緑が答えた。
「私当たり前のこと、言っただけやのに、刺されるから。」
「当たり前のこと?」
「半袖で、あゆみちゃんの傷見えたから、言うた。」
「あかんやん、そんなん言うたら。」
「でも、ママ私の顔の事、パパに似て一重や、とか言うから。」
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