検品母
確かに緑も、「女の子は短大位出てたら、後の社会的な地位は、器量に懸かっている。キャリアとかもいるけど、平凡な女の子は、地位のある人と結婚するのが一番。」と言われて育つ。幸い、アイドルとまでいかなくても、巨乳・手足の長さで勝負する女位の目鼻立ち。
158cm50kgだけど。だから、そこそこの収入の男性と結婚できたと思っている。ただ、子供が生まれてみると、「激動の昭和」の白黒写真の出てくるような、一重の扁平顔の女の子。中身はわからないが、ヘタしたら緑より条件の悪い結婚しかできない。韓国のように割り切って整形しようか、と、産んですぐ見せられてから、思っていた。でも、お友達に心無いこと言うて、半殺しになるまで、やり返されること無いやないの。私だって、反っ歯とか、鼻が上向いてる子とかいたけど、親に容姿の事言われたけど、お友達に余計な事言わんかった。
「ママ、言いたい事、言えと言うたやん。」
「・・・・」
それは緑が、姑に対して影で薫に言っている事を指す。姑木村理恵は、干渉の程度が甚だしい。結婚準備のときから。だから、木村緑は、番犬のように拒絶することにしている。薫が産まれた時も「もっとかわいいと、思ったのに。五体満足が救いか。」などといわれたので、産科のフロアに響き渡るくらいの剣幕で、怒鳴り散らした。「いいのよ。万一の時は、保育ママでも児童支援施設でもあるから。」でも、お盆とかには、顔を会わさないわけにはいかない。で、会えば揉める。そして、帰ってから薫に愚痴る。「言いたい事言わなあかんよ。」緑だって、「私当たり前のこと、言っただけやのに。」と思う。

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