検品母
そんな時、たまたま知り合った友人から、ボランティアを奨められる。最初は友人の顔を立てて、出ていたけれど、変な張り合いの無いコミュニティーもたのしいものだ。ただ、農業をしているので農閑期に限られるし、家庭、お稽古事、趣味などがあり、のめりこんでるわけじゃない。
ボランティアして偉いね、犬引き取って偉いね、と言われる。いや、私は少し疲れているので、違った世界を見せてもらってるだけだ。やれる事しかしないし。
山口秀子の身に降りかかった事で、奈津子は本当に胸を痛めていた。犬を通してのべったりしないお付き合いだけれど、どうして秀子だけが、ああした災いを引き受けねばならないのか、見当がつかない。そりゃ、今まで見た女たちのように、「自分がどう見えるか?」と言うことに、気を使いすぎる人だ。が、根は悪い人じゃあない。悪い人というのは、どの学校・職場・地域にも居るが、相手の弱みを嗅ぎ付け、それとなく攻撃し、それを他人に触れて回り、相手が苦しむのを糧とする。奈津子には、少し霊感があるのでわかるが、そんな人は、黒い紗がかかっている。秀子は、そこまで悪くない。秀子の娘がああゆうことするなら、悪い女の子供は、もっとひどい事になっている。なんで?いや、山口秀子は、中途半端に他人から見た悪い事を意識しすぎるから、かえって悪に捕らえられたんじゃないか。非行に走る子でも、半端なワルほど、加減がわからずに、大きな事をする。番長クラスほど、20も過ぎれば更正し、良い社会人になる。現に、教師や弁護士になったり、事業を起こしたりする者も多い。
















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