検品母
きれいな大きなビルの文化センターで、田中節子は、色とりどりのビーズを並べていた。週一度のこの教室が楽しみなのだけど、いつもいっしょの山口秀子はいない。友人作りが苦手な節子にとっては、随分と痛手だ。
「田中さん。山口さんはどうしてるの?」
今まで、節子を見くびっていたのか、声もかけて来なかった女が言う。すると、いつのまにか、教室で7,8人のグループになっている女が、集まってきていた。小学校の時、初めてビスケット型の消しゴムを持ってきた時の様に。
「え・・ええ・・・知らない・・・・」
女たちは、つまんねー、と言う様に引き上げた。
ったく、女ってのは小学校の女子の時から、行動パターンが変わらない。そんなママ友を代表とする女の付き合いが嫌で、ここに逃げてきたのに、ここでも、グループ行動とお互いのハブり合いは変わらない。ファッションはチェックされるし、不器用な女はバカにされるし。そんなだから、節子はみんなに馴染めないでいたのに、こういう事件の関係者?と言うだけで、ピラニアの様に寄って来やがる。
お教室が始まると、みんな静かに先生の指導を聞いて、ビーズをつなぎ始める。
同じ、神経を使うのでも、こういう事に神経を使いたいなー。人間関係は、まっぴらだなあ。と思う。こういう、ママ友同士の陰険さが、影響して、子どもが悪くなるんだろうな、とも思う。

















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