検品母
「低農薬にしようと思ったら、草引き大変やわ。」と奈津子。低農薬というのは、最低限の農薬のみ使い、一雨来てから出荷すると言う意味だ。まったく使わないのは、虫の培地を作るようなもので、事実上不可能である。
「うん。それで低農薬野菜がアレルギーやらメタボリックにええのなら、しゃあないわな。」
奈津子達の田んぼでは、農協に出すキレイに消毒したものとは別に、『こ-たろう』と自家用の低農薬野菜を作っている。農協では、ある程度キレイなナリの野菜でないと、はねられるのだ。
「ほんまは、みんな低農薬野菜にしたらいいのに、消費者が見栄えを求めるから、農薬の多い野菜になってしまう。」昭代が憤慨した。
「それでせいだい(たくさん)アレルギーやら慢性疾患つくってるんやさかい、世話無いわ。」
と言いつつ、奈津子は草むしりの手を止めず、また、回想の中に入っていった。
野菜も子供もいっしょではないか?
本来の生命力を尊重せず、外見ばかり整えてやる事を考えているから、残留農薬、いや子供の場合、なんか滓のようなものが溜まってしまうのだろう。
それが、今回の山口あゆみちゃんの事件なんだろう。
そして、その山口あゆみは、あのママ友集団にいた山口秀子の子なのだ。
だからといって、運動不足は太る、というくらいの説得力がないのが、訳わかんないところや。


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