検品母
お寺に着くと、奥さんが熱いお茶とおにぎりを出してくれた。
大人、というものは、少し思い通りに行かないと、ヒステリックに何か言ってくる、と思っている薫には、なかなか気味悪く、信じられない対応だった。
おにぎりを食べ終わると、警察官が来た。一瞬薫は、責められる、と身構えたが、彼らも特に何も言わなかった。
薫を家に送ると、
「薫!」
緑と久和は、 薫を抱きしめた。
ただ、 薫は、醒めていた。
「私が居なくなって困るんやったら、最初から責めないで欲しいな。」
警察官は、薫の両親に、ものすごく丁寧に送り出された。

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