検品母
吉冨麗華のうちに、クラスの子が寄っていた。
以前は、山口あゆみの家に寄っていたのだが、ああゆうことになってから、麗華の家になっていた。寄ってきたのは、女子でも、容姿が良く、家庭もきっちりした5,6人ほど。
「わあ、100色もあるの?」
が、色鉛筆を見て、歓声を上げる。
「ママが、500色買ったから、お古なの。」
と言うと、みんなは顔を見合わせた。
「トーンも、いっぱいあるよね。漫画の背景のは、だいたい...」
「これも、お仕事のいらんくなったの。だから、使いさしだけど。」
吉冨佳代子は、イラストレーターなので、画材はいっぱいある。
30畳ほどのリビングは、カラフルな画材と女の子で、おもちゃ箱をひっくりかえしたようだ。
みんなは、イラストを描いたり、漫画を描いたりしている。マニアックな色も多いので、イメージに合った毛色や服ができる。
「ああ、その瑠璃色貸してよ。」
「待って。」
「こうぞ色ない!」
吉冨麗華もイラストを描きながら、複雑な気持ちで居た。
ふだん、コイツらは、かわいい子ばかり寄って、私の事スルーしていたのに、なんやねん。
山口あゆみちゃんの事件から。だいたい、図画工作の時間に、 春山璃々杏が、「麗華ちゃんとこなんて100色あるのよ。」 と言い出すから、いけないんよ。


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