検品母
山口秀子の予想通り、浜緑地に来ていた姉妹は、子どもができてから、和解して遊んでいるのだった。妹、長谷川百合子(ふたりの旧姓は梶本)に呼び出された田中節子は、妹ならと、そんなにオシリも重くならずに、出てきていた。 田中節子は、人員あわせのときのみ、呼ばれやすく、女特有の値踏みのおかずにされるので、最近は他人の集まりには行かない。
長谷川百合子の子、正太が、大型木製遊具から叫ぶ。
「敬子!来いよ!」
「ああーん!怖い...」
田中節子が、手を貸してやると、敬子はなんとかよじ登った。
「ねーちゃん、甘やかしたらあかん。」
でも、節子は、だまって笑っている。かつての私達のように放っておかれたくないもの。
節子たちの両親は、魚市場の仲買人。朝は3時には家を出て、お昼過ぎに戻って来る。晩は、5時くらいにご飯を食べて、8時には寝てしまう。だから、子ども達と食事をしたり、世話をしたりしている間が無かった。そこで、姉妹の父方の祖母が、世話をしていた。




















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