検品母
「母親同士、子ども連れて遊べるの、あんただけや。」
「そんなん、もっとキレイにして入っていったらええねん。うちなんか、阪神間やから...あの、事件起こした子のお母さん。何ていったっけ?」
「山口秀子さん。」
「そそ。デジカメで見せてもうた、あの人くらいキレイにしてないと、人とは、見なされないのよ。」
「怖っ。」
「そこがスタート地点で、お互い容姿、ダンナの職業・収入、住んでるマンションの部屋のクラス、子どもの容姿と出来...」
長谷川百合子は、マンションでも一番クラスの低いAタイプの3LDKで、ダンナが普通のメーカー勤めなので、肩身が狭いのだそうだ。
結婚した頃は、阪神間の高層マンションに住むと言って、地元の公務員と婚約中で、田舎の造成地に住む予定の節子を、軽く見くびっていたが...
「やっぱり、地元でおったほうが、良かったかなあ。買い物したけりゃ、一時間で梅田に出られるし。」
「何を今更...」
「いや、短大やOLの頃は、俄然京阪神に限ると思ってたのよ。でも、子育てとなると。」
「文教地区やん。」
「けど、肝心のお勉強が出来ないとね。それに、小学校から私立に遣ったかて、あのモデルさんみたいな悪い子がいて、いじめ殺されたら何にもなれへん。」
神戸の名門女子一貫校で、今はボランティアにも熱心な某モデルは、同級生をいじめから自殺に追いやった。私立でお金も掛かってるとなると、親もやめさせない。そこが恐ろしいところだ。












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