検品母
「えらいことになったなあ。」
「なんで?」
「関東の方の、子連れバーベキューの集団で、刃物の振り回しあいあったらしいんや。」
吉冨佳代子は、行きつけの商店街の青物屋の亭主と店先で話していた。
「今日は、家の事する日やから、CDかけっぱなしで、拭き掃除してたから知らんかった。」
「パソコンで仕事してたんと違うのか?」
「そりゃ、たまには家の事もせんと、えらいことになってまうし...」
締め切り前は、食器は麗華に食器洗い機に入れてもらい、洗濯は溜まったら気づいた者が回し(ドラム式で乾燥まで自動)、床はザラザラなのだ。
「救急車が何台も出てるんやて。もしこの辺で起こったとしたら、ゾッとするわ。」
そう、この辺は、三次医療が可能なのが、いずみ中央市民病院と泉北医療センター、青洲会病院しかない。
同じ内容の事は、教育大付属池田の事件の際も、仕事仲間が言っていた。
「大阪って、南低北高やもんなあ。文化施設から、学校のレベルまで...」
「せやけど、この辺はガラが悪い分、異質なものも受け入れるから、山口あゆみちゃん事件のレベルとちがうか?」
「そうやな。あんまり無菌状態で育てると、野菜も子どもも、あかんようになってまうしな。」
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