検品母
「あさは、ごはんをたべるまえにせんめんじょへつれていかれて、チェックされます。かおがむくんでいないかとか、ふきでものができていないかとか。そのあと、かみのけをいたくなるくらい、ブラッシングされてから、えらんだかざりでむすんでもらいます。ママは、名越妃美花ちゃんみたいにかおがでかくないから、おさげがにあうといいます。そのあとたいじゅうとしんちょうをはかられて、しんちょうのわりにたいじゅうがふえていると、おしりをおもいっきりぶたれます。いまは、はんそでなので、やけどのきずがめだつので、スプレーストッキングをふきかけられます。いいおいしゃさんはみつからないと、いつももんくをいわれます。あさごはんは、パンとサラダとたまごです。ぱんにつけるバターとジャムは決まっただけこざらによそわれていて、すきなだけつけれません。いつもたりません。サラダも、ノンオイルドレッシングがきまっただけかかっていて、たりません。かんぺきにカロリーけいさんされているので、ふとったりチビだったりしないといいます。」
「がっこうからかえると、ハンドソープとじょきんクリーナーでてをあらわされてから、てづくりのおやつをくれます。うっているのがほしいのですが、こうカロリーなので、きんしです。そのあと、つくえでがっこうのプリントとかチェックされます。ノートがきたないとぶたれます。きょうかしょにもらくがきはできません。しゅくだいができるまであそびにいかせてくれません。だから、こうえんにいくのはともだちがあそんでいるとちゅうです。でも、わたしはかわいいので、どようとにちようは、ともだちがきてくれるからいいです。」
出来上がってきた作文を読んで、教官は、寒気がした。
どんな性悪な少女でも、親について書かせると、虐待があったとしても、お祭りに行った事とか、喧嘩で殴った相手にいっしょに謝りに行ってくれたとか、泣かせる事を書くものだ。なのに、されている事実だけを淡々と書くなんて。まるで、メダカの観察記録だ。少女の子どもらしい整った文字だけに、不気味だった。これが流行の、サイコパスというものだろうか?










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