検品母
のぞみ台のある公園では、ママ友のグループが寄っていた。子どもやダンナが出払った後の時刻には、恒例である。
ボスママ、北野和代が切り出す。
「山口秀子さん。ご主人と別居して、夜な夜な大阪市内を遊び歩いてるんやて。」
「ああゆうことなって、別居になるのはわかるけれど、よう、遊び歩けるわ。」名越育子は、答えた。
そこへ、宝明子が、「本人は、メイクで気ぃ付かれてないみたい、と思い込んでいるようだけど、アホちゃうか?」と火にガソリンを注いだ。
だが、春山優子が、「で、ソースは?」冷静に質す。
「ダンナの会社の出入り業者が、パブで見たゆうた。」北野和代は、得意げだ。
名越育子は、突っ込む。「んなん、都市伝説っぽいな。酒鬼薔薇の目撃情報といっしょやん。」
ちょい、気まずい雰囲気になったので、宝明子は、話題を変えた。「それより怖いのは、山口あゆみちゃんの出所情報やわ。」
「大丈夫。違う地域に移すから。ああゆうのは。」春山優子が、答えた。
「でも、木村薫ちゃんへの謝罪にも行かなあかんし、木を隠すのは森やというし...」北野和代は、つぶやく。
「案外近くに来るかもな。」と宝明子。
「怖っ。で、木村薫ちゃんも失踪中、悪い遊び覚えたとか。」名越育子は、目を爛々とさせたが。
北野和代が、抑える。「シッ!」
木村みどりが通り過ぎた。
一同は、目礼したあと、木村みどりが見えなくなると、話を続けた。
「しってるー。人気のない町内キャンプ施設で、通りすがりのニートくんとHしたとか。」と春山優子。
宝明子は、「でも、三年生でそんな事...」と目をしばたかせる。
名越育子は、あきれたように、「最近の子は、そんなことぐらい知ってるわよ...」と、しれっとした。








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