検品母
入ったところは、山の尾根のしたが、みんな個人の敷地になっているようだった。
のぞみ台小学校の2倍はあろうか。
手入れされた木々の中に、瀟洒な鉄骨の建物が幾つか建っていて、その中の一つに連れて行かれた。
大き目の建売くらいは、ある。
上がると、人気のないダイニングに通された。グレーで統一されている。
上質な家具類があるが、冷え冷えしている。
「何飲む?」
「炭酸。」
いつも、ママの山口秀子から、
「炭酸は、美奈ちゃんみたいなデブになる。」と、禁じられていたから。
あゆみは、本当に、出されたペットボトルを美味しそうに飲んだ。
「お腹空かない?」
「空いた。」
「何がいい?」
「ピザ。」
これも、太るからと禁じられているものだ。
こんな、チョイ奥地まで、 ピザ屋のバイクが来た。
食べた後、ソファでまどろみながら聞いた。
「太らないの?」
山口あゆみは、常にママの山口秀子から、朝夕体重チェックを受けていた。
「ええもんある。」
青年は、錠剤を取り出した。
「何?」
「痩せる薬。」
山口あゆみは、歓声を上げて、飛びついた。









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