検品母
吉冨麗華は、友達と別れた後、木村薫のうちに向かった。
「ほんまに、麗子像だの、リーサルウェポンだの、勝手な事抜かしやがって。」
と、思いつつ、呼び鈴を押した。
「3年3組の吉冨麗華です。」
モニターから、母親の声がした。
なんだか、すごく警戒しているのが、ビシビシ伝わってきた。
だが、しばらくすると、出てきた。
けっこう、キレイなおばさんだ。
「木村薫ちゃんの、今日の宿題と連絡物です。」
「ありがとう。」
「薫ちゃん、具合はどうなの?」
「まだ、おなかが痛いと言うの。」
「そうなの。早く治るといいね。先生もクラスのみんなも心配しているよ。」
「ええ。すぐ治ると思うけど...」
でも、麗華には、わかった。
薫ちゃんは、二度と学校に来る事はないと。
山口あゆみちゃんのお父さんとは違って、邪険にはしないけれど。
山口あゆみちゃんが、二度と学校に来る事はないように。




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