ピアニシモ~18才のシングルマザー~

 それだけでも。

 司の体温を感じて、わたしは、幸せなんだけど。

『色っぽくない』って言われたって!

 わたし、司が初めてのひとなんだもの!

 何をどうすれば、色っぽくなるか、なんて、知らないもん。

 そんなわたしが。

 司の腕の中で、じたばたすれば。

 司が、ちょっと意地悪く、耳たぶを噛む。

 すると甘い痛みと、言葉が広がった。

「……茉莉珂ちゃん。
 俺にどこを触られたいの?
 どんなにふうにされたいか。
 ちゃんと教えてくれたらシてあげるんだけどな」

 ええ~~!

 わたしが、言うの?

 そんなの、無理無理無理!


「もう、司のえっち!
 わたし、知らない!」

 ……って言いながら。

 でも、彼から逃げて行かずに。

 かえって、ぎゅっと、腕一本を胸に抱きしめたら。

 司は、笑って、もう一本の腕で、わたしを包み込んだ。

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