【 側にいるよと笑うから 】
「...え――たのんでないし。」
「今でかい声で叫んでただろうが。」
何でこいつがいるんだ。もうとっくに帰ったと思っていたのに。
また恥ずかしい所を見られた気がして、ふいと顔を背ける。
「何でまだいるんデスカ。」
「俺も自主練しようと思ってたんだよ。なのに、全面使いやがって。」
「う゛!...それは申し訳ない...。」
ばつが悪そうに視線を泳がせる。
やばいなぁ。怒ってるかなぁ。てか何時間いたんだろうか。あー自分の馬鹿!よりによってこいつの存在が分からなかったなんて。
ぐるぐる考えていると、急に腕を引かれた。
「...早く汗ふけ。風邪引くぞ。」
そう言って、男子部の部室に入っていった。
「あり?怒ってない?」