【 側にいるよと笑うから 】




「あ――お腹減った。」



人気のない生徒玄関に行くと、眉間にしわを寄せながら不機嫌そうこいつは立っていた。



「...は?何でいんの。」



先に帰ったとばっかり思っていたのに、どうして。
こいつの行動の意味が、まったくもって理解できない。

何も言わないこいつに、よく分からないけど段々腹が立ってきた。



「てかさぁ...私があんたのこと嫌いなの知ってんでしょ!」


「知ってる。」


「じゃあかまうな!ほっとけ!私の日常に入ってくるな!」



もう嫌だ。
こいつといると本当に何もかもが分からなくなって、イライラする。こいつのことなんか知りたくないのに、私のことも知ってほしくないのに。



「あんたは最低野郎なんだよ!」


まるで言い聞かせるみたいに、振り絞った言葉。
震えて、小さく消えていった。




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