【 側にいるよと笑うから 】
「何でこんなにあいつのことを考えなきゃなんないのさっ!」
頭が沸騰しそうだ。
嫌いなままでいいじゃないか。
関わらないで交わらない日常でいいじゃないか。
「何でそんなに嫌がるの?」
「最低野郎だから。」
「じゃあ何で杉本の行動や言葉を気にするの?拒絶すればいいじゃん、嫌いなやつのことなんか無視すれば。」
「...それができないからこんなに悩んでる。」
確かに注目してしまう。今までそれは悪い意味でだった。気に入らないからだった。
「でもね小春。気にしてしまうってことは、それだけ興味や関心があるってことだよ。」
嫌いなのに。大嫌いなのに。
その気持ちを利用して、気にしていることを隠していた。私の中に芽生えていた感情を、自分勝手に変えてしまっていたんだ。
「ねぇ...小春は杉本にどう思われたいの?」