【 側にいるよと笑うから 】
「二人とも誤解がとけてよかったね。」
「ちょっとした勘違いがね、大事になっちゃって――恐いわぁ。」
「ちょっとした、じゃねぇよ。」
「いふぁいいふぁいふまふな!!(痛い痛いつまむな)」
杉本に引っ張られた頬を涙になりながらさすり、恨みも込めて睨み付けると、さも愉快そうに喉の奥で笑っていた。
「...ふーん。」
奈央は奈央で、意味深ににやついている。
わたしの周りは腹黒い策士ばかりだ。ピュアな乙女には、色々と辛い。