そんな君に一目惚れ
「これって?」
「ん、俺の車。乗って」
「うん」
私は助手席に乗り、春人が運転席に座ると、すぐに車は発進した。
家に行くまでの間、車の中は終始無言。
いや、なんだか緊張感が漂っていて、それどころではなかったのだ。
数分後、私の家に着く。
正直、入りづらい。
お見合いを逃げ出して、男の人といるなんて。
もちろんこんなこと初めてだから絶対に怒られる。
私はギュッと目を瞑った。
すると、手をギュッと握られる感触が。
そこを見ると春人が手を握ってくれていた。
口では言わないけど、「大丈夫」と言われているみたいだった。
そして意を決してドアを開けると、
「理沙・・・」
「お母さん・・・」
開口一番にお母さんが出てきた。