そんな君に一目惚れ
すると春人は、
「いえ、“理沙でいい”ではなく、“理沙がいい”んです」
真剣にそう答えた。
「そう。・・・なら私は何も言わないわ」
「お母さん・・・」
(よかった・・・)
この家の権限はいわばお母さんが握っていると言っても過言では無い。
だから、お母さんに許して貰えたことは何よりも嬉しかった。
「お嬢さんのことは、必ず幸せにします」
春人は真っ直ぐに言った。
「すまん、ひとつ確認なんだが・・・」
お父さんが急に話題を変える。
「家にはこの通り、理沙一人しかいないから、男手が必要なんだ。会社を継ぐものには婿養子に入ってもらうことになる。そのことをふまえてもらってもいいかな?」
お父さんが厳しく、そう言いはなった。