そんな君に一目惚れ
「あーあ、お前には“横田”を名乗って欲しかったな」
「どうして?」
「だって、普通結婚したら男の方の名字名乗るじゃん?」
「そうだけど・・・」
「そういうのが、男の夢だったりするんだよ」
「でも、あたしは嬉しいよ」
「え?」
「春人が、あたしと同じ名字になってくれるから」
確かに春人の名字を名乗れないのは残念なことかもしれないけど、私は好きな人と何かひとつでも同じことがあれば、それだけでいいのではないかと思う。
「そうだよな。そんな贅沢言ってらんないよな」
「一緒になることに変わりはないんだし」と言ってさっきの緊張を取るように、腕を伸ばす。