ヒーローズ
「やべーよ!超美人!」

「しかも、さらさらの黒髪ロングヘア。清楚系」

「俺、今年3組でよかったよ、マジで」

「クラスの温度が5℃はさがったね」

「あー、もう暑さ忘れた。オレ、なんで4組なんだろ!クラス変わりてえ!」



以上、転入生を見た奴らの感想。


美人で清楚、性格もよさ気らしい。そりゃあ、クラスのヤツらが寄ってたかって見に行くわけだ。廊下も騒がしい。



「亮平!ウソじゃなかったろ?」

「みたいだな」

「ああっ!おまえはなんでそんなクールなんだよ、ほら立て!俺らも見に行くぞ!」



羽柴に強引に連れ出され、廊下の人込みをかわして3組の窓へ、噂の転校生はにこにこと席の周りのヤツらと話していた。


確かに美人。しかも、なんていうかオーラがある。


マイナス5℃っていうのはマジかもしんないな、とぼんやり思う。ウチのクラスにはない華やぎがあった。


去り際の一瞬、彼女とちらりと目が合った。

ドキリとする。

でも、隣で羽柴が「今、俺のこと見たよな!」と言ったのを皮切りに、周りのヤツらも目があったと主張しだした。


だからそのときの俺は、なんだちょっとこっち見ただけか、と特に気にとめてはいなかったのだ。


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