ヒーローズ
赤いマントはいらない
昼間から学校を抜け出して、ひたすら前を歩く彼女を追い掛ける(椎名美夜は歩くのが速い)。


人込みを縫うように歩いて抜けて到着したのは、ちょっと高級そうな、だけど普通のマンションだった。




「ここ、あたしの家」

「……へえ」




なんか、もっとアジト的なとこに連れて来られると思っていた俺は、すっかり拍子抜けしていた。

ソファやテレビのある、普通のマンション。まあとっても豪華だけど。



「そこ座ってて。麦茶でいい?」

「うん。どもです」



出された麦茶は、よく冷えてて生き返る。ふう、と一息。


あれ、俺、何しにきたんだっけ。


なにこの普通に友達の家に遊びに来た感じ。いや実際そうなんだけど。

さっきまでの現実離れした世界は、すっかり遠のいてしまった。


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