ヒーローズ
「はい。登録OK!東くんの家にアイフォンみたいなヤツとカードが届くはずだから、明日はそれを持ってきて」
「あ、うん」
……強引すぎるよ、市原さん。
確かに清楚だけど、守ってあげたいっていうより守られたいくらいの頼もしさ。
うわ、情けな俺。
ついでに、「あ、うん」とかいう返事もどーよ。情けなすぎる。ビビリと戸惑いマックスじゃんか。
「じゃあまた明日。詳しい契約とか仕事の話しよ」
「あ、うん」
ああ、また情けない返事がでてしまった。
なんか今日いろんなことが起こりすぎて、もうなんか、これは夢?
まだ真っ昼間。
セミの鳴く夏の暑さも忘れ、俺はよろよろと家に帰った。
途中で一度展示ブロックにつまずき、電信柱に肩をぶつけた。
ああ、俺ってこんなダサかったっけ。
なんとも情けないヒーローの誕生だった。