お見合い恋愛
出会ったことがあるような唯香さんは案外すぐ近くにいた。



「いらっしゃいませ。アポはお済みでしょうか」


そう笑顔を向けてくれたのは、あの唯香さんだった。

「えっ、あ、はい。本日14時でお約束しています」

「お待ちください」


思わず、見とれてしまった。

唯香さんは俺が時折打ち合わせに来る繊維会社の受付嬢だった。

ふんわりとしたスカーフを首元にふんわりと巻きつけ、もう一人の受付嬢とは色違いの制服を着ている。

さすがは繊維会社。

制服もしっかりした素材だし、何よりデザインがおしゃれだ。


唯香さんが先方の担当に電話で連絡をしていると

もう一人の受付嬢が席をはずす。

俺はそれを目で見送った。
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