お見合い恋愛
コートの着ずにカバンと一緒に抱えて店を出る。

居酒屋は飲み屋街にあった。

店を出ると、いろいろなネオンがきらびやかに輝き、俺はあまりの眩しさに目を細めた。






RRRRRRRRRRRRRRR




ネオンの喧騒に紛れて、カバンの中の携帯が鳴り響く。








慌てて画面も確認せずに電話に出ると、聞いたことのない声が聞こえてきた。


『榎波さん、ですか?』


少し弱気な女性の声。


「・・・あ。もしかして、唯香さんですか」


電話を通して会話するのは初めてだったから、少しだけトーンの違う声に気がつけなかった。
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