空と雨

「あ、うん…。

すごく元気に育ってる」


「何才?」


「まだ六歳だよ」


「…そっか」


二人の間に強い風が吹き乱れ
雨が二人に強くあたる。


「…じゃあ、あれから、」


「…」


「六年の月日が流れたの…」


「…」




菜穂は懐かしそうに、でもどこか悲しそうに。

黒い雲で覆われる空をゆっくりと見上げた。


「…潤、」


「ん…?」


「今…幸せ?」



“幸せ”………


ねぇ菜穂、

あなたはあたしになんて答えてほしいの?


『幸せだよ』『幸せじゃない』

どちらを答えてほしいの?


なんでそんなことを聞いてくるの?

今のあたしは“幸せ”そうに見えてないの?
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